住宅過剰社会と空き家

住宅過剰社会が抱える構造的な問題

住宅が造られ続けている一方、街には空き家が増えています。住宅過剰社会が抱えている問題にはどのようなものがあるのでしょうか。

所有者不明問題

空き家や空き地が増えたとしても、相続人がいてきちんと管理されていれば、周辺の住民への影響はそこまで大きくなりません。相続人が明らかになっていれば、例えば近隣の住民が空いた土地を購入したい、借りたいと思えば、相続人と交渉ができます。問題なのは、土地や建物の所有者と連絡が取れなかったり、相続人がいない、分からないという場合です。土地や建物の所有者が不明になってしまう理由は、相続時に登記の名義変更が行われず放置されていたり、相続人が遠方に住んでいて管理できないというものです。今後、管理も相続もされない空き家や空き地が日本のいたるところで急増すると思われます。

空き家のタイプ

近年、老いた居住者の死後、相続人がその住宅を引き継いで居住するケースが少なくなっているため、団塊の世代の寿命が尽きる時期から空き家が爆発的に増加する危険性があるとされています。

空き家といっても様々なタイプがあります。大きく分けると、『賃貸空き家』『売却用空き家』『二次的住宅』『その他の空き家』の4つのタイプがあります。『賃貸空き家』は、賃貸のために空き家になっている住宅、『売却用空き家』は売却のために空き家になっている住宅、『二次的住宅』は、別荘等の普段生活している住居とは別に使用している住宅、『その他の空き家』は、転勤や入院等による長期にわたって不在になる住宅や取り壊す予定の住宅、空き家の区別が困難な住宅のことです。これらをきちんと分析し、それぞれのタイプ別による住宅の対策や都市計画を考えていくことが重要です。

駅に近いほど空き家率が高い

全国的には、戸建については駅から近い場所の方が空き家率が高くなっています。一方、共同住宅は駅から遠い方が空き家率は高くなっています。東京や大阪の大都市では、戸建の空き家は駅に近い便利な立地の方が空き家率が高いのです。大阪などでは、駅周辺から開発され、車社会になるとともに駅から遠い郊外へと新しい住宅開発が広がっていったところが多いからだと考えられます。

日本の都市計画や住宅政策は、市場が求めるままに住宅供給を行ってきました。これまで造ってきた街を活性化させようという意識や取り組みが不足しているのです。住宅開発をする際には、先を見越した計画をし、街全体の新陳代謝を生み出そうという意欲を持つことが重要なのです。