産業廃棄物処理業と労働災害防止

産業廃棄物処理業における労働災害

産業廃棄物処理業は、他の事業と比較して労働災害が数多く発生しており、労働災害防止は大きな課題の一つになっています。労働災害は、被災した労働者に大きな苦痛と負担を強いることになります。それだけではなく、操業の一時停止、社会的信用の失墜など事業運営にも大きな損失をもたらします。労働災害防止のための対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

産業廃棄物処理業における労働災害の動向

事故の型別では『はさまれ・巻き込まれ』、『墜落・転落』、『転倒』が上位3つを占め、起因物別では『動力運搬機』、『仮設物・建築物・構築物等』、『材料』が上位3つを占めています。これらは死亡災害や障害を残す重篤な災害となることが多いため、特に防止するための対策をとる必要があります。

産業廃棄物処理業における安全衛生管理の進め方

事業者は事故や災害を経営上の重要な問題と位置づけて労働災害防止に率先して取り組む必要があります。経営トップから各管理監督者に至るまで、それぞれの役割、責任、権限を明らかにして、一体となって安全衛生のための活動に取り組まなくてはいけません。また、労働者を雇入れたとき、安全衛生教育を実施することも大切です。安全衛生教育とは機械や原材料等の危険性及び取扱方法について、安全装置について、作業開始の点検、事故時の応急処置や対応等、労働災害を防止するための教育です。

特定の危険な業務

労働安全衛生法では特定の危険な業務については、就業制限業務として資格を有する者以外の就労を禁止しています。事業者は、就業制限業務に無資格者をつかせてはいけませんし、また、資格を有しない者は就業制限業務を行ってはいけません。例えば、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転はクレーン・デリック運転士免許を持つ者、ボイラーの取り扱い業務はボイラー技士免許を持った者が業務につくことができます。

事故や大規模災害に備えた緊急時の対策

事故や地震などの災害によって、廃棄物に含まれる化学物質が流出した場合、発火や爆発、健康被害が懸念されます。大阪府では、災害時における化学物質の飛散、流出による災害を防止するため、事業者に対して化学物質の漏えい防止等の対策を実施するよう指導するなどして、事故防止の対策に取り組んでいます。大阪府が化学物質の流出防止の対策について事例集を作成していますので、それを参考に、事故等に対応できるよう予め対策しておくことが大切です。