空き家活用を阻む要因

空き家を活用できない

全国的な空き家問題を解決するには社会的な問題について考察する必要がありますが、実際には一軒ごとの事情を考慮してそれぞれに合った条件で解決しなくてはなりません。空き家を解体することなく活用しようという人も多いですが、それを阻む要因とは何でしょうか。

使える土地か使えない土地か

空き家を活用する上で、もっとも大事な要素は『立地』です。空き家に限らず不動産全般にいえることですが、利便性の高さは重要です。30年前と比較しても、より利便性が求められています。駅から徒歩15分の場所では遠いという認識のため、当時建設されたニュータウンなどに新しく入る人がいないのはそのためです。主な理由は、以前より土地の価格が下がり、都市部に住みやすくなったことや、家族の人数の減少により広さよりも利便性が優先されるようになったことが挙げられます。利便性の悪い立地ですと、どんなに良い不動産でも空き家になり、活用されない可能性があります。

建物自体ではなく適法性

最近は行政も空き家問題に乗り出してきていますが、空き家の活用に対しての助成が出る基準に達していない建物が多いのです。無接道(敷地が道路に2m以上接していない)、容積超過といったことが原因で活用の対象にならないのです。1950年の建築基準法以前の建物の場合、現行の建築基準法を満たしていない場合が多く、再建築不可の物件の可能性が高いです。取り壊しても税金が高くなるだけで、更地にしても売れるかどうかわからないとなると、結局空き家として放置されてしまうのです。こうしたことから、道路幅の条件を緩和するなど、法令緩和の動きも出てきました。そのことで建て替えが可能になり、解体費用の補助を出すことができるようになるといいます。

所有者の気持ちの問題

例えば、高齢者が長期で入院したり、老人ホームに入った場合は、もしかしたら戻ってくるかもという気持ちから、空き家のままにしておくケースが多いです。その場合は処分はもちろん、貸すということも考えませんので結果として空き家のまま放置することになります。また、かつて自分が住んでいた家で愛着がある、仏壇があるから貸したり売ったりできないという気持ちから空き家の状態にしておくこともあります。他にも、空き家問題を解決することが面倒だと先送りにして長い間放置する人もいます。

このように、あらゆる面で空き家問題の解決を阻む要因が存在します。面倒だからと放置し続けると、雑草や害虫などで近隣住民から苦情が出てきます。そうなる前に、まずは空き家の状態や適法であるかどうかを把握し行政に相談するなどして、どのような対処方法があるかを知ることで問題解決の糸口が見つかるでしょう。