産業廃棄物による公害問題
産業廃棄物問題の歴史
日本は経済が発展すると共に、産業廃棄物の排出量が急増しました。高度成長期、産業廃棄物は適切な処理がされないまま廃棄されました。その結果、有害廃棄物が公害を引き起こし、周辺住民の健康を脅かしてきました。産業廃棄物による公害問題を取り上げます。
水俣病
熊本県水俣市にある化学工場から排出されていた水銀によって、人々に健康被害をもたらしました。海に排出された産業廃棄物である水銀が体内に蓄積された魚を食べた人が視覚障害や言語障害などを発症し、意識不明で亡くなることもありました。これが水俣病です。妊娠中の母親を介して赤ちゃんが水俣病になる事例もありました。その後、水俣地域は産業廃棄物による汚染地域を埋立て、現在は魚介類の安全性が確認されています。
イタイイタイ病
岐阜県の神岡鉱山から排出された産業廃棄物であるカドミウムが水田を汚染し、その水田で育ったお米を食べた人々が発症したのがイタイイタイ病です。症状は、腎臓に障害出る、骨に異常が出て、症状が重くなると骨折を繰り返すようになります。現在は産業廃棄物であるカドミウムが川に流れないような対策をしており、被害者や調査団の方々の努力によって綺麗な川が保たれています。
豊島事件
香川県の豊島において、約62万平方メートルにおよぶ産業廃棄物の不法投棄がされていた問題です。廃棄物は、鉛やクロム、カドミウムなどの有害物質が含まれており、処理には莫大な費用がかかりました。94万トンの産業廃棄物を処理するのに560億円ほどかかったと言われています。このように、廃棄物は処理をするために費用がかかるので、不法投棄をする産業廃棄物処理業者は後を絶ちません。豊島事件の場合、地域住民が香川県に訴えてもまともに取り合ってもらえず、住民たちは東京まで赴き、産業廃棄物問題について国に訴えかけました。マスコミが取り上げたことで、国も動きだし、原状回復するための作業が開始されたのです。
青森・岩手県境不法投棄
青森県と岩手県の県境でも不法投棄が問題になりました。青森県の産業廃棄物処理業者が長期間に渡って産業廃棄物を不法投棄し、廃棄物の量は100万平方メートルにもなり、東京ドーム0.8個分ほどという大量なものでした。廃棄物には有害なものも含まれており、土壌が汚染され大問題となりました。この事件は、それ以降の廃棄物処理法の大規模改正や、特定産業廃棄物の除去等に関する特別措置法の制定に繋がっていくことになりました。