産業廃棄物の不法投棄

不法投棄の実態

産業廃棄物の不法投棄は、水質や土壌汚染などの環境面はもちろん、周辺地域のコミュニティを破壊するなど、社会的な影響が大きい犯罪です。近年、不法投棄は厳罰化、マニフェストの義務化によって減少傾向にあります。

産業廃棄物の不法投棄の減少

産業廃棄物は1994年頃は約40万トンでしたが、2005年には17万トンと減少しています。不法投棄の厳罰化(5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金)、マニフェスト(産業廃棄物管理票)に代表される排出事業者責任の強化、行政による不法投棄対策の強化によるものと思われます。排出事業者に対する責任追及が行われるようになりましたので、排出事業者としても不法投棄に対して注意しておく必要があります。大阪市も、不法投棄が行われやすい場所に市職員によるパトロールや、警告看板を設置する等の対策をしています。

どんなものが不法投棄されているか

不法投棄された産業廃棄物で一番多くを占めているのは、がれきや木くずなど建設系廃棄物です。不法投棄の実行者の4割が排出事業者で、次いで無許可業者が多いのですが、無許可業者は一回の不法投棄量が多く一件あたり約1000トンと大規模なものになっています。不法投棄された産業廃棄物は、種類によっては悪臭を発したり、火事になったりする可能性があり、その場合はすぐに除去する必要があります。不法投棄された産業廃棄物の撤去には莫大な費用がかかりますから、放置していても腐敗するわけではない建設廃棄物などは後回しにされがちです。2005年時点で残存する廃棄物の量は1500万トンにも上ります。

不法投棄を防ぐには

産業廃棄物を不法投棄する動機の8割が『処理費節減のため』です。次いで『最初から不法投棄を企図』、『処分場が遠い』です。不法投棄を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。まずは監視することです。実際に人間がパトロールするだけでなく、監視カメラの設置などで不法投棄の現場を監視します。二つ目が、フェンスなどを設置して投棄現場をシャットアウトする方法です。これは大きな抑制効果はありますが、景観を損なう、フェンスによって死角が生じ別の犯罪が起こる等のデメリットもあります。三つ目は、産業廃棄物にICチップを埋め込み、廃棄物の場所を把握する方法があります。これはコストはかかりますが、周囲の景観に影響を与えることがないことがメリットといえます。不法投棄を抑制したい場所に応じて、それぞれの方法が選択されています。