産業廃棄物管理票『マニフェスト』とは

産業廃棄物の処理に必要な書類『マニフェスト』

産業廃棄物処理業者に委託して産業廃棄物を処理する場合、排出事業者や行政、地域住民からその実態がよくわからないと問題視されています。処理が排出現場から離れた場所で行われていることや、排出事業者にとって利益を生むものでないため関心が薄いことが原因とされています。

これらの問題を解決するため、産業廃棄物が適正に処理されていることが把握できるマニフェスト制度が実施されるようになりました。

マニフェスト制度

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は平成5年4月から特別管理産業廃棄物について義務付けられました。平成13年4月には排出事業者に最終処分までの処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努める義務が加わり、産業廃棄物の排出事業者責任が強化されました。これに伴い、マニフェスト制度が見直され、最終処分の終了についてマニフェストで確認することが義務付けられました。

マニフェストの流れ

まず、廃棄物を発生させた排出事業者はマニフェストを用意し、必要事項を記入します。この時点で伝票は7枚あります。

次に排出事業者は収集運搬業者へマニフェストを1枚渡します。残りの6枚の伝票は次の工程へ進む際に使用します。その後、収集運搬業者は中間処理業者へ廃棄物を運びます。その際、中間処理業者は2枚の伝票を収集運搬業者に渡し、収集運搬業者はそのうちの1枚を排出事業者に送付し、運搬が終了したことを報告します。

中間処理業者は、中間処理が終了すると収集運搬業者と排出事業者にそれぞれ処理が終わったことを伝票を送付して報告します。残りの伝票のうち1枚は中間処理業者の控えになります。

最後に、最終処分業者が作業を終了した時点で中間処理業者に報告します。中間処理業者は最後の伝票を排出事業者に送付して最終処分が終了したことを報告します。

マニフェストを運用する際の注意点

交付時の注意点として、産業廃棄物処理業者はマニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引き受けを行ってはいけません。また、収集運搬業者は排出事業者からの産業廃棄物の引き渡しと同時に、産業廃棄物の種類ごと、運搬先ごと、運搬車両ごとに紙マニフェストの交付を受ける必要があります。

送付期限の注意点として、産業廃棄物処理業者は決められた期限以内に排出事業者に紙マニフェストを送付しなくてはいけません。例えば、運搬受託者は排出事業者に運搬を終了した日から10日以内にマニフェストを送付する必要があります。

保存時の注意点としては、排出事業者、運搬受託者、処分受託者には、紙マニフェストを送付した時、および送付を受けた時から5年間紙マニフェストの保存義務が課せられています。