解体工事におけるリサイクルの取り組み

解体工事で排出される廃棄物のリサイクル

解体工事をおこなうさいに出る木材や石膏ボードは2000年に建設リサイクル法でリサイクルが義務付けられました。木材は主に燃料として利用されていましたが、最近では汚染物質を吸着したり、調湿効果等がある炭にして利用することも多くなってきました。石膏ボードは壁材、天井の下地材などに優れた特性を持つのであらゆる建築物で重宝されていますが、解体された建物から廃棄される石膏ボードは、複合素材などを分離するといった異物の除去が課題になっており、リサイクルするにも手間がかかります。

木材のリサイクル

建設業における木材の廃棄物は年間約480トンです。建設リサイクル法により建物の解体に際して、木材、コンクリート、アスファルト・コンクリートの3品目が特定建設資材に指定され、分別解体、リサイクル化が義務付けられました。解体から発生する木材で、塗装や防腐処理などにより化学物質を含む木材は燃料としてしか利用できません。近年、炭が注目されています。炭は有機化合物を吸着する効果があることが実証されており、床下調湿材など建築資材として利用されるようになりました。炭は土壌改良剤などで使用されることがありますが、その場合は化学物質を事前にきちんと取り除くことが重要です。

石膏ボードのリサイクル

建設業界が一番重要視しているのは石膏ボードのリサイクルです。石膏ボードは石膏を芯にして表面を紙で覆い、板状にしたものです。石膏ボードを廃棄する場合は表面のクロス張り等を除去しなくてはいけません。異物を除去した後、粉砕して粉末状にし、石膏ボード、セメント、土壌改良剤などとして再利用されます。新築時の端材は回収ルートが整ってきていますが、解体工事で発生する石膏ボードに関しては課題が多いのが現状です。建設業者、石膏ボードメーカー、廃棄物処理業者が合同で石膏ボード専門のリサイクル工場を立ち上げるなどして再利用に取り組んでいます。

畳のリサイクル

建設廃棄物の中で、厄介物とされているのが畳です。畳替えや古家の解体で年間約100万枚が破棄されるといわれています。近年の畳はポリスチレンフォームを使用した化学畳が主流であり、分別の手間がかかるのでほとんどが焼却されてきました。現在は分別処理を行い、植物由来のものは肥料に、スチレンフォームはポリスチレンにリサイクルされます。

廃棄物をリサイクルすることは資源の確保にほかなりません。日本は多くの資源を輸入に頼りながら、膨大な廃棄物を排出しています。リサイクル技術において、日本は世界でも最先端の技術を持っています。大量の廃棄物を排出する建設業界で、このようにリサイクルに取り組んでいくことは、日本人のリサイクルに対する意識を高めていくことになるでしょう。