産業廃棄物の処理方法(1)
産業廃棄物はどのように処理されているのか
全国の産業廃棄物の総排出量は、約3億9千万トン(平成26年度)です。これだけの量の産業廃棄物はどのように処理されているのでしょうか。
産業廃棄物には、燃え殻、汚泥、廃油、コンクリートくずなど様々な種類があります。産業廃棄物の種類によって処理方法やリサイクル方法が異なります。産業廃棄物がどのように処理されているかをご紹介します。
燃え殻、ばいじん
燃え殻とは、産業廃棄物を焼却した後に残る灰や燃えかすのことです。ばいじんとは、物を燃やした際に発生するススや細かな燃えかすなどの固体粒子状の物質のことです。燃え殻とばいじんの多くは、飛散を防ぐためフレキシブルコンテナなどの容器に入れて管理型最終処分場で埋め立て処理されます。重金属が含まれている場合は安定化処理といって、コンクリート内部に有害物質を封じ込めたり、融解処理を行います。
汚泥
排水処理や製造業の生産工程で排出された泥状のものを汚泥といいます。汚泥は水分を大量に含んだ産業廃棄物で、脱水処理などを行ってから最終処分や再利用が行われます。
汚泥の処理は、まず脱水を行うことが基本です。広大な敷地で天日乾燥という太陽熱や風の力で自然乾燥させる方法、熱風などでの機械式乾燥、加圧脱水機などでの脱水処理を行う方法などがあります。脱水処理の後に焼却を行って管理型最終処分場で処理されます。有機性汚泥の場合は微生物の働きによって汚泥を発酵・分解し、堆肥として再利用されることもあります。
廃油
廃油は、鉱物性油、動植物性油、潤滑油、溶剤など、あらゆる産業から排出される使用済みの油です。リサイクルに適さない廃油の基本的な処理方法は焼却です。含油廃水などは、焼却の前処理として油と水を分離する処理を行ってから焼却します。
産業廃棄物である廃油のリサイクル方法としては、燃料としてのリサイクル方法と、他の原料への再生の二つの方法があります。廃油を燃料として再利用するためには、廃油の中の不純物を取り除く必要があります。廃油中の油分と水分を分離し、油分を加熱して水分を飛ばします。それから油分を遠心分離機にかけ、不純物を除去すると、再生油となります。廃油の中でも廃食用油は、バイオディーゼル油や石けんとしてリサイクルすることが可能な産業廃棄物です。