世界の空き家対策
世界の空き家事情から学べること
海外でも空き家問題は一つの課題とされています。日本と同様に少子高齢化が問題になっている国では放置された空き家を撤去するような対策がとられますが、逆に人口が増えている国では住宅を増やす必要があり、空き家を放置せず市場に戻す対策が行われてきました。海外では具体的にどのような対策がとられているのでしょうか。
アメリカの空き家事情
アメリカは主要都市では住宅取引が過熱していますが、人口減少に伴い空き家が増加している地域もあります。空き家は放置され治安の悪化に繋がる問題となっています。このような空き家を取得し、権利関係を整理して再利用する公共組織が存在します。活動は短期的な空き家の再生だけでなく、長期的にそのエリア自体の価値を高めるような活動を行っています。また、アメリカは日本と比べて中古住宅の供給率が高く、アメリカの中古住宅の流通量は日本の約30倍です。アメリカで中古住宅の流通量が多いのは住宅寿命が日本より長いことも関係していますが、一番の理由は取引制度がしっかりと整備されているからのようです。
イギリスの空き家事情
イギリスの人口は増加しています。これは難民や移民の流入が原因と思われます。人口増加に対し、空き家率が極めて低く住宅供給が追い付いていない状態です。イギリスはアメリカ以上に中古住宅の供給率が高く、新築住宅の着工戸数も日本より低いです。また、自治体が空き家対策に力を入れており、空き家件数は日本よりもずっと少ないのです。行政が主導で空き家を市場に戻す仕組みを作っています。
フランスの空き家事情
フランスもまた、人口が増加しており、大都市では住宅不足が顕著になっています。住宅不足の解消にも空き家を住宅市場に出すことが重要と考えられ、空き家への課税等の対策がすすめられてきました。フランスでは、多様な空き家政策を実施するだけでなく、空き家問題を都市計画と関連して捉えて対策をしています。また、空き家に限らず管理が不十分で危険な建物に対しても対策を行っています。
日本と比較すると、海外の方が空き家や空き地が多く衰退したエリアの再生に対する取り組みがより広範に行われています。単に空き家を解体したり活用するだけでなく、その街を再生させて存続させていくという取り組みが今後の日本でも重要になっていくと思われます。