ビルの解体
ビルの解体
経済成長と共に、日本でも高層ビルが次々と建設されてきました。建築から40年以上たったビルはいくつもあり、老朽化がすすんでいます。現在、建て替えの必要のあるビルが多くなってきました。
都市部での解体工事には様々な問題があります。騒音や粉塵が飛散するなどで周辺に影響があるからです。良くテレビ等でビルを爆破させて解体する映像を見かけますが、建物が密集した日本では難しいといえます。
では、日本ではどのようにしてビルを解体するのでしょうか。小規模なビルと大規模な高層ビルとでは、解体方法も異なります。
中高層ビルの解体
15階建て程度のビルなら地上に設置した解体重機を使って解体することができます。まず、タワークレーンを立てて最上階に小型の解体重機を吊り揚げます。建設の時とは逆に床や壁、柱などを切断していきます。切断したものをクレーンで地上に降ろしてから、更に細かく解体するのです。
高層ビルの解体
高層ビルの解体は、地上60メートルの高さから小さなボルトを落としただけでも大事故につながります。そのため下から解体するカットアンドダウン工法という解体工法が採用されます。
カットアンドダウン工法は、ジャッキでビルを支えながら下から解体します。ジャッキを設置するためには柱を切断しなくてはいけません。そのため、ビルの内部に鉄筋コンクリートの壁を新たに構築する必要があります。カットアンドダウン工法は、地上で解体作業ができるため、周辺への影響が抑えられることがメリットです。高所での作業がないため、安全性の確保という面でも有効といえます。また、従来の解体工法では、雨水などで内装材の分別が難しかったのですが、この解体工法だと内装が濡れることがないので、解体したものを分別できるというメリットもあります。
ビルの解体に使用される重機
ビルの解体に使用される重機は、長いアームの先端にコンクリートを砕いたり、鉄骨を切断したりする油圧式の大きなハサミが付いていることが特徴です。解体する対象の素材によって、アタッチメントを付け替えて作業することができます。
ビルの解体は、解体中に地震が起こったり、悪天候による強風などで周辺に迷惑をかけないように準備するなどの配慮が重要になります。低コストで効率よく解体できることが求められています。