海外の産業廃棄物事情

海外では産業廃棄物をどのように処理している?

日本に限らず、世界各国で産業廃棄物は大量に排出されています。海外の廃棄物処理の実態をまとめます。

アメリカ

アメリカの場合、廃棄物の半数以上が埋立処分されています。アメリカでは産業廃棄物の排出量が多いにも関わらず、中間処理に関してはあまり厳しくありません。そのため、有害産業廃棄物が少量の場合は非有害廃棄物として埋立てられてしまい、環境団体から批判の声が上がっています。また、日本では建設物の解体による廃棄物が産業廃棄物として処理されますが、アメリカでは産業廃棄物ではなく、一般廃棄物埋立て処分場で処分されています。現在は大きな問題は起こっていませんが、今後は違反者には罰則を科し、廃棄物処理業者の管理を徹底していくとのことです。

EU

EUでは産業廃棄物が年間約3300万トン排出されています。排出量の多さは鉱工業と製造業、その次が建築業という順になっています。西ヨーロッパ諸国では、鉱工業が盛んなので、東・中央ヨーロッパ諸国に比べて産業廃棄物の量が多くなっています。EUでは「End of Waste」(廃棄物の中から資源となるものはリサイクルする)を定義づけて、廃棄物のまま排出することのないよう誘導しています。産業廃棄物の最終処分場の受入の制限も行い、資源として使えるものはなるべく資源にしようという取り組みが行われています。

中国

人口13億人の中国は、経済の発展とともにゴミの急増も社会問題となっています。近年は続々と大型のごみ総合利用施設を建設しており、民間による資源回収も発展してきました。廃棄物は廃品を交換する市場で売買されるため、中間処分場や埋め立て処分場においては、多くのごみを漁る人々が手で廃品を回収しています。その結果、産業業種別に有用な原材料として再利用されています。しかし、リサイクルの面での法整備はまだなされていないため、廃棄物の回収責任がはっきりせず問題が起こっています。

発展途上国での廃棄物処理

発展途上国といわれる国の中には、日本のような廃棄物処理が行われていない地域が多く見られます。焼却処理の施設も殆どありません。産業廃棄物だけでなく、一般の家庭の廃棄物ですらも空き地や湿地などにそのまま捨てられている場合もあります。

中間処理施設の導入がほとんど進んでいないため、産業廃棄物の最終処分は、ほとんどが埋立処分となります。しかし、そのほとんどが開放投棄方式なので、ごみの飛散、虫の繁殖、水系や土壌の汚染、火災などの問題が発生します。現在、廃棄物管理能力向上プロジェクトなどが立ちあげられ、改善しようという動きがあります。今後も先進国が経験したてきたことを活かし、協力事業等を通じて途上国を導いていく必要があります。