空き家になった実家を手放せないのはなぜか

実家を継ぐのか、たたむのか

地方出身の長男、長女が都市部で結婚して生活基盤を築いている場合など、それぞれの親が亡くなった時に『実家の問題』が生じます。実家の家はどうするのか、畑や山をどう処理するのか、家の中の遺品整理はどうするのか。見て見ぬふりをして、永遠に空き家の状態にしておくわけにはいきません。『実家の問題』は、避けては通れない問題です。

「実家をたたむ」ことを躊躇するのは何故なのか

実家をたたむと言っても、そう簡単なことではありません。一番の障害は‘先祖代々の家をたたむのは、親やご先祖様に申し訳ない’という気持ちではないでしょうか。この心理的障害を乗り越えられるかが実家をたたむことのポイントになります。親世代は‘土地を守って欲しい’‘お墓を守って欲しい’と考え、子世代が‘今時、実家を守るという考えは古い’‘自分の子どもたちが苦労するから手放したい’と考えている場合、意見の食い違いでもめることになります。まずは、実家を継ぐということに対して、親と子だけでなく、孫の代のことまできちんと話し合う必要があります。

実家を継ぐことを選択した場合

実際に実家を継ぐことにしたら、その後の管理について考えなくてはいけません。長年暮らしている家はそこかしこで不具合が生じていますから修理が必要ですし、多くの場合、モノが多すぎて整理できていない状態になっています。親が亡くなってから遺品整理を始めるのではなく、両親が生きているうちに整理しておいた方が後々のためになります。また、あらかじめ地元の人たちと良い関係を築いておくことも大切です。しばらく空き家にせざるを得なくなっても、空き家の管理をお願いしやすいからです。

実家をたたむことを選択した場合

実家をたたむことにした時、遺品整理等よりも先に、まずは家の歴史や思い出を整理することです。家系図や写真などで自分のルーツを知り記録を残すことで、‘ご先祖様に感謝する気持ちは忘れていないですよ’と、気持ちの方も整理するのです。

そして、土地を次世代に引き継ぐためにしておきたいことは、土地の境界線を不明確なままにしておかないことです。次の世代に引き継ぐ時のトラブルのもとになります。

遺品整理もそうですが、実家をたたむことにしたことを切り出すタイミングは難しいものです。元気なうちに切り出しても、そんな話はまだ早いと言われてしまいますし、例えば認知症などが進んでしまってからでは遅いということになります。また、実家が大都市中心部に昔から建っている場合は、売却した時に高額の譲渡所得税が発生する可能性があります。親が自分のマイホームとして売却する場合と、子どもが相続してから売却する場合では、税金が大きく違いますので注意が必要です。予めきちんと調べておきましょう。