空き家とインフラの老朽化
空き家問題とインフラの老朽化問題の関係性
今後、空き家が放置され近隣に害を及ぼすようになると、最終的には自治体が税金を使って対応することが増加していくと考えられています。市民の方も、空き家問題は行政が対策するべきと考えている人が多いですが、自治体の方も財政的に対応できなくなってきているのです。自治体はインフラの老朽化にも対応する必要があるためです。空き家問題とインフラの老朽化問題の関係性についてご説明します。
インフラの老朽化問題
高度経済成長期に、日本は学校や公民館などの公共施設、道路や公園、橋や上下水道施設などの整備に力を入れてきました。現在、30年以上たって老朽化が進んだ設備や施設が増えており、維持管理だけでも費用がかさんでいる状況なのです。大阪北部地震の際、大阪府高槻市・箕面市・吹田市などで大規模な断水が生じましたが、水道管の老朽化によるものだったといわれています。水道管破裂は大阪だけでなく、全国で発生している問題であり、今ある水道管を更新するのに130年かかるともいわれています。
トンネルや市庁舎などの老朽化も深刻な状況です。災害時に人の命を奪ったり機能しなくなる可能性があります。大阪市は、公共施設の状況を把握して計画的な管理を推進する『大阪市公共施設マネジメント基本方針』を取りまとめて実施していくことを決めました。『大阪市公共施設マネジメント基本方針』は、大阪市のホームページで見ることができます。
このように、インフラの老朽化問題を放置すると、生活に直結するインフラが崩壊し、市民に危険が及ぶことになりかねません。インフラの維持管理に費用が必要なため、今後は地方財政が圧迫されることが予想されます。そのため、空き家問題にまで手が回らなくなるでしょう。
自治体による空き家問題の取組み
現在は住民から空き家について相談があった場合、多くの市町村では問題の種類によって対応する課が異なります。例えば、危険な家屋の指導を担当するのは建築課、空き家バンクは企画課、ゴミや悪臭問題は環境課が対応するといった状況です。
今後、空き家問題が増えることが予想されるわけですから、このように空き家問題を個別に対応するのではなく、庁内での包括的な対応及び意識を統一できるシステムにする必要があります。
大阪府は、『空家総合戦略・大阪2019』という空き家対策の骨格を完成させました。
空家の適正管理等の促進、空家対策によるまちづくりの促進、中古住宅流通、リフォーム・リノベーション市場の活性化、災害を教訓とした空家対策の強化の4つの新たな戦略を掲げ、今後3年間で空き家対策のスピードアップを図るという施策を打ち出しました。今後の空き家対策の推進に期待が高まります。